新築時の火災保険・地震保険はどう選ぶ?知っておきたい仕組みと判断基準【前編】

くらしとお金

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新築のタイミングで避けて通れないのが、火災保険・地震保険選びです。補償範囲、保険期間、地震保険の付帯有無や割合など、決めることが多く、「結局何を基準に選べばいいのか分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか。

私自身も、住友林業で新築した際にこの選択に向き合いました。しかし、引っ越しの準備や家具の購入など、入居準備を進めながら考える必要があり、正直なところ、当時は十分に比較・検討しきれなかった部分もありました。

この記事は前編・後編の2本立てでお届けします。前編となる今回は、これから火災保険・地震保険に加入する方に向けて、まず押さえておきたい仕組みと、判断するときの基準を整理します。後編では、我が家が実際にどう判断したか、悩んだ部分も含めて振り返ります。

①火災保険はどこまで補償してくれるのか

「火災保険」という名前から、火事のときだけの保険だと思われがちですが、実際にはもっと幅広い補償を組み合わせて設計できる商品です。

一般的には、火災・落雷・破裂/爆発は基本補償として含まれることが多く、そのうえで次のような補償を選んで組み合わせる形になっています。

  • 風災・雹(ひょう)災・雪災(台風や大雪などによる損害)
  • 水災(台風・大雨による洪水・土砂崩れなど)
  • 水濡れ・物体の落下・飛来(給排水管の破裂、車の飛び込みなど)
  • 盗難(空き巣による窓ガラスや鍵の破損なども含む)
  • 破損・汚損(うっかり物をぶつけた、といった日常の事故)

※出典:ソニー損保「火災保険の補償内容」、東京海上日動火災保険「火災保険の補償内容」

このうち特に注意しておきたいのが水災です。多くの商品では「建物評価額の30%以上の損害」または「床上浸水」など、一定の条件を満たさないと保険金が支払われない仕組みになっています(同出典)。

どこまで手厚くするかは、住んでいる地域のハザードリスクや、家財にどの程度の価値を見込むかによって変わってくると感じています。すべてを手厚くすると保険料も上がるため、「本当に備えが必要なリスクはどこか」を一つひとつ検討する視点が大切だと考えています。

保険期間についても、1年契約だけでなく、5年など長期でまとめて契約できる商品があり、長期の方が年あたりの保険料が割安になるケースが一般的です。ただし長期契約は、その分まとまった費用が先にかかるため、家計全体の資金繰りとのバランスで考える必要があると感じています。

自分の条件だと火災保険部分の保険料がどのくらいになるのか気になる方は、複数社をまとめて比較できるサービスで概算を確認してみるのも一つの方法だと思います。

②地震保険の仕組みと、保険会社による違い

地震保険は火災保険とは異なり、単独では契約できず、必ず火災保険とセットで契約する仕組みになっています。また、地震保険は「地震保険に関する法律」に基づき、政府と民間の保険会社が共同で運営している公共性の高い保険です。

※出典:財務省「地震保険制度の概要」

そのため、地震保険の補償内容・保険料は、所在地(都道府県)と建物の構造によって決まり、どの損害保険会社で加入しても基本的に同一とされています(一部、保険料の払込方法によって差が生じる場合があります)。

※出典:東京海上日動火災保険 よくあるご質問「契約する会社によって、補償内容や保険料の違いはありますか?」

地震保険の保険金はどう決まるか

地震保険の保険金は、実際の修理費用ではなく、損害の程度を「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4区分にあてはめ、それぞれ地震保険金額の100%・60%・30%・5%を定額で支払う仕組みになっています(この「地震保険金額」がどう決まるかは、次の③で説明します)。
認定は主要構造部(壁・柱・床など)の損害割合で判定され、この一部損の基準(建物の時価の3%以上20%未満など)にすら至らない小さな損害には、保険金が支払われません。

※出典:損害保険料率算出機構「地震保険基準料率」

実際の修理費と連動しない定額払いの仕組みであるため、「地震保険はなかなか保険金が下りにくい」と感じられる方も多いのではないかと思います。

つまり、「地震保険部分をどこで比較するか」を悩む必要はなく、比較・検討する余地があるのは火災保険部分(補償範囲や保険料、付帯サービスなど)である、と整理しておくとよいのではないでしょうか。

③地震保険の付保割合、何を基準に考えるか

地震保険の保険金額は、建物・家財それぞれについて、火災保険金額の30%〜50%の範囲内で設定することとされています(建物5,000万円・家財1,000万円が上限)。

※出典:財務省「地震保険は、なぜ火災保険の保険金額の50%までしか契約できないのでしょうか」

この上限が50%に設定されているのは、大規模な地震が発生した際の損害額が巨大になりうるため、保険会社の支払い能力や国の財政にも限度があることが理由とされています(同出典)。
つまり地震保険は、建物を「完全に元通りにする」ためというより、生活再建の一助として設計された制度だと理解しておくとよいと感じています。

建物と家財、それぞれ別々に割合を選べる点も押さえておきたいポイントです。「建物は50%、家財は30%」というように、組み合わせを変えることもできます。

※出典:ソニー損保「地震保険料はどのように決まる?仕組みを解説」(建物と家財ごとに30〜50%の範囲内で設定する仕組みを明記)

この30%〜50%という範囲のうち、実際に何%を選ぶかは、次の④で整理する判断軸と合わせて考えるとよいと思います。

④保険金額・地震保険の要否・保険期間を判断するときの軸

ここまでの仕組みを踏まえて、実際に何を基準に決めればよいのか、一般的な考え方を整理しておきます。

建物の保険金額をどう考えるか

建物の保険金額を考えるうえで大切な視点は、「万が一火災で家を失っても、住宅ローンの返済だけが残ってしまう」という事態を避けることだと思います。団体信用生命保険(団信)は、契約者が死亡または高度障害状態になった場合にローン残高を保障するものであり、火災でローンが免除されるわけではありません。
つまり、火災保険の保険金額が不足していると、家がなくなったのにローンの返済義務だけが残り、再建のための追加資金も自分で用意しなければならない、という二重の負担が生じるおそれがあります。

この事態を避けるために基準になるのが「新価(再調達価額)」、つまり「今、同じ建物を建て直すとしたら必要になる金額」です。

建物の保険金額は、この評価額の範囲内で設定する仕組みになっており、契約者が完全に自由に決められるものではありません。評価額より低い金額を設定する状態は「一部保険」と呼ばれ、全損時に建物の再建に必要な金額を受け取れない可能性があります。逆に評価額より高く設定しても、支払われる保険金は評価額が上限になるため、保険料が無駄になります(「超過保険」)。
実務上は、評価額どおり(全部保険)に設定するのが基本的な考え方とされています。

※出典:日本損害保険協会「損害保険Q&A(すまいの保険)問56」

検討のポイントとして押さえておきたいのは、この新価は固定された数字ではなく、建築資材や人件費の変動によって変わりうるものだという点です。新築時であれば取得価格とほぼ一致することが多いですが、時間が経つにつれて「今建て直すのに必要な金額」そのものが変化していきます。

つまり、契約時点では評価額どおりに設定していても、数年後にはその金額が今の新価とずれてしまっている可能性がある、ということです(新価が上がっていることもあれば、下がっていることもあります)。長期契約であっても、更新などのタイミングで評価額を確認し、必要であれば見直す、という視点を持っておくと安心だと感じています。

家財の保険金額をどう考えるか

家財の金額をイメージする前提として、「建物」と「家財」の違いを押さえておく必要があると思います。
建物とは、建物本体に加えて、キッチン・浴室・トイレなど建物に固定された設備や、門・塀・車庫といった付属設備を含みます(特約の有無による場合があります)。
一方、家財とは、建物の中にある家具・家電・衣類・寝具など、日常生活に使う動産を指します(1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石などは、申込書への明記がなければ対象外となる場合があります)。

※出典:ソニー損保「火災保険の対象「建物」と「家財」」

建物の火災保険は面積や構造にあわせて保険金額が決まりますが、家財の保険金額は契約者が任意で設定できます。基準として一般的なのは「再調達価額(今持っている家財を同等のものに買い直す場合にかかる金額)」で考える方法で、世帯構成に応じた目安を公開している保険会社もあります。

世帯構成(例)家財保険金額の目安
独身世帯300万円
夫婦のみ(30歳前後)720万円
夫婦+子ども2人(40歳前後)1,430万円

※出典:ソニー損保「火災保険で家財の保険金額はいくらがいい?」(簡易評価表の一例。実際の金額は各家庭の持ち物によって異なります)

持ち物やライフスタイルによって適切な金額は変わってくるため、こうした目安をそのまま採用するのではなく、「実際に買い直すとしたらどのくらいか」を一度自分で考えてみるといったことが大切になると感じています。あわせて、貯蓄でどこまでカバーできるかという視点を持っておくと、保険金額を低めに設定する場合でも、根拠を持って判断しやすくなると思います。

地震保険の要否をどう考えるか

地震保険に入るべきかどうかは、一般的に次のような点が判断材料とされています。ご自身の状況と照らし合わせて、当てはまるものをチェックしてみてください。

  • 住宅ローンを返済中である(建物を失っても返済は続くため、必要性が上がると考えられます)
  • お住まいの地域にハザードリスクがある(地盤の強さ、液状化のリスク、過去の地震被害の有無など。自治体のハザードマップで確認できます)
  • 建物が新耐震基準より前に建てられている、または耐震性に不安がある
  • 被災後にすぐ使える貯蓄や、換金しやすい資産があまりない

当てはまる項目が多いほど、地震保険で備える必要性は高いと考えられます。逆に、当てはまる項目が少ない場合は、「保険で備えるか」「貯蓄で備えるか」を天秤にかけて判断する余地があるといえそうです。

保険期間(1年/5年など)をどう考えるか

①でも触れたとおり、長期契約は年あたりの保険料が割安になる一方、契約時にまとまった費用がかかります。住宅ローンの返済計画や、当面の資金繰りとのバランスを踏まえて選ぶとよさそうです。

特約(オプション)をどう考えるか

火災保険・地震保険には、基本の補償に上乗せする形で、さまざまな特約(オプション)を付帯できます。代表的なものとしては、地震による火災被害などを手厚くする特約や、日常生活での賠償事故(自転車事故、水漏れによる階下への損害など)に備える「個人賠償責任特約」があります。

特約を選ぶときに押さえておきたいのは、他に加入している保険と補償が重複していないかという視点です。たとえば個人賠償責任特約は、自動車保険や自転車保険にすでに付帯されているケースも多く、その場合は火災保険側で重ねて付ける必要性は下がります。特約ごとに保険料が上乗せされるため、「本当に必要か」「他の保険で足りていないか」を一つずつ確認しておくと、無駄なく備えられると思います。

まとめ+後編予告

火災保険は保険会社や商品によって補償内容・保険料が異なる一方、地震保険は仕組み上、どの保険会社で加入しても基本的に同一です。そのうえで、建物・家財の保険金額、地震保険の要否、保険期間をどう決めるかには、④で整理したような判断軸があります。

すべてを完璧に検討してから選ぶことは難しくても、最低限の仕組みと判断軸を理解したうえで、自分の家計とのバランスを考えて判断していく。それが、火災保険・地震保険選びで後悔を減らす一つの方法だと感じています。

後編では、ここで整理した判断軸に照らして、我が家が実際に何を選び、何を悩んだのか、正直なところも含めてお伝えします。

自分の条件で火災保険部分の保険料がどのくらいになるか気になる方は、後編を読み進める前に、一度比較してみるのもよいかもしれません。

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