固定金利か、変動金利か。私が変動金利を選んだ理由を、FP2級取得後にあらためて整理してみた

くらしとお金

住宅ローンを組むとき、多くの人が悩むのが「固定金利にするか、変動金利にするか」という選択です。

以前、「親世代とは違う!?住宅価格に驚いた私が、金利と返済額を整理して見えてきたこと」という記事を書きましたが、あの頃はまだFPの資格を持たず、ハウスメーカーの方やFPの方に話を聞きながら、手探りで住宅購入と向き合っていました。

その後、FP2級を取得したこともあり、当時の自分がどう考え、なぜ変動金利を選んだのかを、あらためて自分の知識で整理してみたいと思うようになりました。

この記事では、固定金利と変動金利の仕組みの違いから、現在の金利差、将来金利が上昇した場合の試算、金利タイプを選ぶときに考えておきたいポイント、そして私自身がなぜ変動金利を選んだのかを、実体験を交えてお伝えします。

①固定金利と変動金利、そもそもの仕組みの違い

住宅ローンの金利タイプを考えるとき、まず整理しておきたいのが「固定金利」と「変動金利」の仕組みの違いです。

固定金利には、フラット35のように借入時から完済まで金利が変わらない「全期間固定型」と、3年・5年・10年など一定期間だけ金利を固定し、その後は再度金利タイプを選び直す「固定期間選択型」があります。

一方、変動金利は多くの金融機関で半年ごとに適用金利が見直される仕組みです。見直しの基準となるのは「短期プライムレート」(銀行が優良企業向けに短期融資をする際の最優遇金利)で、日銀の政策金利変更などを受けてこれが動くと、住宅ローンの基準金利も連動して見直されます。ただし、金利が上がったからといってすぐに毎月の返済額が増えるわけではなく、「5年間は返済額を据え置く」「見直し後も従前の返済額の1.25倍を超えない」といったルールを設けている金融機関が一般的です(このルールを採用していない金融機関もあるため、契約前の確認が必要です)。

つまり変動金利は、金利そのものは半年ごとに変わる可能性がある一方、家計への影響がすぐに・急激には出にくいよう設計されている、とも言えます。

ただし、返済額そのものが変わらなくても、その内訳(元金と利息の割合)は金利の変動に応じて変わります。金利が上がれば、同じ返済額の中でも利息の占める割合が増え、元金の減りが遅くなる、ということです(例:毎月の返済額10万円の場合、変動前は元金9万円・利息1万円だったのが、金利上昇後は元金8万円・利息2万円に変わる、というイメージです)。

さらに、金利が急激に上昇した場合には、125%ルールの上限を超えた利息分が「未払利息」として繰り越され、返済期間の最後にまとめて支払いが必要になるケースもあります(例:毎月の返済額10万円のまま据え置かれていても、金利上昇後の本来の利息額が11万円であれば、差額の1万円が未払利息として繰り越されます。金融機関により対応は異なります)。

「返済額が急に増えない」ことは家計へのショックを和らげる仕組みですが、金利上昇のリスクそのものがなくなるわけではない、という点は理解しておく必要があります。

②今の金利差はどれくらいか

金利タイプを選ぶうえで気になるのが、実際の金利差です。2026年8月時点、これから借りるとした場合の数字を確認してみました。

フラット35(全期間固定)の最低金利は3.29%となり、2017年10月の現行制度開始以降で過去最高を更新しています。一方、変動金利は三菱UFJ銀行・横浜銀行が年0.945%と、主要銀行の中でも低い水準にあります。

※出典:住宅金融支援機構「【フラット35】借入金利の推移」(2026年8月、返済期間21年以上35年以下の最低金利) 

※出典:Money Magazine「住宅ローン金利ランキング」(2026年8月3日時点、三菱UFJ銀行・横浜銀行の変動金利)

単純計算で、今この瞬間に借りるとした場合の金利差は2.3ポイント以上。ただし、これはあくまで「今借りるならどちらを選ぶか」という一時点の比較です。固定金利は一度選べばその後ずっと変わりませんが、変動金利は今後も動き続けます。つまり、実際にどちらが得だったかは、今の数字だけでは判断できません。

三菱UFJ銀行では2026年9月から変動金利の基準金利を見直す予定があるなど、変動金利は今後も上昇していく可能性があります。この「今の金利差」が今後どう変化しうるかは、次の項目で詳しく見ていきます。

③将来変動金利が固定金利を上回るかもしれない、をどう考えるか

固定金利は一度選べば完済までずっと変わりませんが、変動金利は今後も上昇していく可能性があります。現在は金利上昇局面にあることを踏まえると、「いつかは上がる」ではなく「どのくらいのペースで上がっていくか」を考えておく方が現実的です。

そこで、借入6,000万円・35年、元利均等返済という条件のもと、変動金利が段階的に上昇していくケースを試算してみました。1〜5年目は現在の水準(0.945%)のまま、6〜10年目にやや上昇(2.0%)、11年目以降にさらに上昇し、その水準が続くと仮定しています。

※試算は、各段階のはじめに残高をもとに、その時点の金利で残り期間の返済額を再計算する方式(元利均等返済)で行っています。実際の5年ルール・125%ルールによる返済額への反映タイミングは簡略化しています。

段階設定総返済額(概算)固定(3.29%・35年)との差
1〜5年目 0.945%/6〜10年目 2.0%
/11年目以降 3.0%
約8,698万円約1,412万円 安い
同上/11年目以降 4.0%約9,436万円約675万円 安い
同上/11年目以降 5.0%約1億217万円約106万円 高い
同上/11年目以降 6.0%約1億1,039万円約928万円 高い

(固定 3.29%・35年の総返済額:約1億111万円)

11年目以降が3〜4%程度で落ち着くのであれば、変動金利の総返済額は固定金利(3.29%・35年)より安く収まる計算になります。一方、11年目以降がおおむね4.9%程度を超えて上昇し続けると、総返済額は固定金利を上回る計算になります。

この試算からもうかがえるのは、①で触れた「金利が低いほど、同じ返済額でも元金に多く充当される」という仕組みの効果です。1〜5年目に低い金利で借りられている間に元金を多く減らせていることが、その後金利が上昇した場合でも総返済額への耐性につながっている、と言えそうです。金利が低いうちにどれだけ元金を圧縮できているかが、後々の上昇局面での「持ちこたえやすさ」を左右する、ということが見えてきます。

もちろん、これも一つの仮定に基づく試算にすぎません。実際の金利は今回のように段階的に動くとは限らず、もっと細かく上下しながら推移する可能性もあります。また、変動金利は上がるだけでなく、経済状況によっては下がる局面も十分に考えられます。将来の金利動向を正確に予測することは誰にもできませんが、それでも「どの程度のペース・水準まで上昇に耐えられるか」を事前に把握しておくことは、金利タイプを選ぶうえでの一つの判断材料になると思います。

④金利タイプを選ぶときのFP的な判断軸

ここまで、金利差や将来のシミュレーションを見てきましたが、実際に金利タイプを選ぶ際には、数字だけでなく家計全体の状況を踏まえて判断することが大切です。一般的に、FPの視点では次のような点を確認します。

返済負担率
年収に占める年間返済額の割合です(ここでの年収は額面上の年収であり、手取り収入ではない点に注意が必要です)。一般的に20〜25%以内が目安とされますが、これはあくまで目安であり、実際に無理なく返済できる水準は家計の支出状況によって異なります。たとえば、趣味や旅行など裁量的な支出が少ない家計であれば返済負担率がやや高めでも対応しやすい一方、教育費や趣味への支出が多い家計であれば、より余裕を持った返済負担率に抑えておく方が安心です。返済負担率に余裕があるほど、変動金利の変動リスクを受け止めやすいと言えます。

収入の安定性と生活防衛資金
公務員や大企業の正社員など収入が安定している場合と、自営業やフリーランスのように収入が変動しやすい場合とでは、金利上昇への耐性が異なります。また、生活費の半年〜1年分程度の生活防衛資金があるかどうかも、変動リスクを取れるかの判断材料になります。

繰上返済の予定・キャッシュフローの見通し
ボーナスや退職金などでまとまった繰上返済を予定している場合、実質的な返済期間は短くなるため、変動金利の恩恵を受けやすくなります。逆に、繰上返済の予定がなく最後まで契約通りの期間で返済する見込みの場合は、金利上昇の影響をより長く受けることになります。

ライフイベントとのバランス
教育費のピーク時期や、車の買い替えなど、将来の大きな支出予定と返済負担が重なる時期を確認しておくことも重要です。返済額が変動する可能性がある金利タイプを選ぶ場合、そうした時期に返済額が増えても対応できるかを考えておく必要があります。こうした将来の支出やライフイベントを整理するには、ライフプランニング(将来の収支やイベントを時系列で見える化すること)を一度行っておくのがおすすめです。金利タイプの選択だけでなく、住宅ローン全体の返済計画を考えるうえでも役立ちます。

団体信用生命保険(団信)の保障内容
固定・変動にかかわらず加入するのが一般的ですが、金利上乗せ型のがん保障付き団信など、商品によって保障内容や上乗せ金利が異なります。金利タイプの比較と合わせて、保障内容も確認しておくと安心です。

これらの判断軸に、②③で見た金利差やシミュレーションの結果を掛け合わせることで、自分の家計に合った選択が見えてきます。

⑤私が変動金利を選んだ理由

ここまでの判断軸を踏まえて、私自身がどう考えて変動金利を選んだかをお伝えします。

一番の理由は、当初の支払いを抑えたかったことです。フラット35のような固定金利は借入時点から総返済額の見通しが立つ安心感がある一方、毎月の返済額そのものは変動金利より高くなります。まずは月々の負担を抑えたいという考えから、変動金利を選びました。

加えて、今後も給与収入が安定して続いていく見込みがあることも、変動金利を選ぶうえでの後押しになりました。収入面での不安が小さいほど、金利変動によるリスクを受け止めやすくなるためです。

そのうえで、変動金利がどこまで上がるかについても、明確な試算をしたわけではなく、あくまで感覚的なものですが、「上がったとしても2%程度だろう」と当時は考えていました。(※③での試算のように、当時ここまで具体的な試算を行っていれば、より根拠を持った判断ができていたように思います。)

一方で、繰上返済については、現時点で「いつ・いくら」という決まった計画があるわけではありません。今後の金利の動き方やNISAなどでの運用利回りだけでなく、教育費など今後のライフイベントも踏まえながら、その都度優先順位を判断していきたいと考えています。あわせて、団体信用生命保険(団信)に加入していることで、万一の際には残債が保障される点も、繰上返済を急ぐかどうかを考えるうえでの材料の一つにしたいと考えています。④で触れた繰上返済の判断軸は、まさに自分自身がこれから向き合っていく問いでもあります。

また、5年ルールについては、毎月の返済額がすぐには変わらない点は家計管理のうえで助かる部分だと感じています。ただし、①で触れたとおり、金利が上がれば返済額の内訳(元金と利息の割合)は変わっていきます。この内訳の変化は、繰上返済を検討するタイミングを判断する材料の一つとして、注視していきたいと考えています。

数字だけを見れば「今のところ変動が有利」という試算にはなりますが、最終的にどちらがよかったかは、何年も先にならないと分かりません。それでも、私自身は今回整理した判断軸に沿って考えたうえでの選択を行いました。

⑥まとめ

ここまで、固定金利と変動金利の仕組みの違いから、今の金利差、段階的な上昇を織り込んだ試算、選ぶ際の判断軸、そして私自身がどう考えて変動金利を選んだかまでを整理してきました。

金利タイプの選択に、万人にとっての「正解」はありません。同じ試算結果を見ても、返済負担率や収入の安定性、リスクをどこまで受け止められるかは家計によって異なりますし、将来の金利がどう動くかは誰にも断定できないからです。

「多くの人が変動金利を選んでいるから」という話を耳にすることもあります。実際、変動金利を選ぶ人は少なくないようです。ただ、周囲がどちらを選んでいるかということと、自分の家計にとってどちらが合っているかは、必ずしも一致しません。統計や他人の判断はあくまで参考情報の一つとして受け止めつつ、最終的には自分自身の返済負担率やリスク許容度、ライフプランに照らして考え、決断することが大切だと思います。

今回の試算のように、事前にどこまで想定して選んだかは、後から振り返ったときの納得感にもつながります。数年後、あるいは数十年後に金利がどう動いていたとしても、「あのとき、自分なりに考えて選んだ」と思えるかどうかが、後悔と納得を分ける一番の違いになるのではないでしょうか。

これから金利タイプを選ぶ方にとって、この記事が判断材料の一つになれば幸いです。

今後も家づくりやくらしとお金にまつわる情報を、実体験を交えながらお伝えしていきたいと思います。

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